サイバーセキュリティに対して統合的なアプローチを取る このシスコの調査で示された最も重要な結論の 1 つは、自らの手で問題に対処しているアジア太平洋地域全体の IT リーダーのほとんどにとって、サイバーセキュリティが最も重要であるということです。それと同様に、デジタル化に向けた準備が十分に整っていないこともわかりましたが、適切な戦略の選択が明暗を分けることになります。
シスコでは、複雑さを低減して有効性を高めるための手段として、エンドポイントからネットワーク、クラウドに至るまでをカバーする統合セキュリティ戦略を策定することを推奨しています。大部分の企業では、IT インフラストラクチャの各部分で多数のベンダーや製品が利用されており、さまざまなセキュリティ エレメントが統合されていないことから、セキュリティが脆弱で管理しにくいものになっています。
シスコではこのようなアプローチを取らず、IT インフラストラクチャ全体を可視化し、発生する前であっても、場所を問わず自動的に脅威を検出してそれらに対応できる、単一のインテリジェントなプラットフォームを導入します。シスコはこれにより、業界平均の 100 日超と比較して、わずか数時間でサイバー脅威を検出して排除することが可能です。
クラウド向けにネットワーキングとセキュリティを最適化する このレポートで示されているもう 1 つの重要なポイントは、この地域の企業におけるクラウドの導入率が高いということです。クラウドの重要性は、基本的に拡張性、アジリティ、およびコスト削減効果が高いという点で正当化されていますが、プロセス、スキル、技術にも変革がもたらされなければ、デジタル変革戦略が失敗するのと同じように、IT インフラストラクチャが最適化されなければ、クラウド戦略も失敗に終わってしまいます。
そのため、シスコのアプローチでは、クラウド環境の複雑さ、セキュリティの欠如、想定外のコストの増加といった、企業が直面する一般的な問題を回避するために、セキュリティとネットワーキングの枠組みの両方を見直すことを企業に推奨しています。また、刻一刻とデータが増加する中、自動化されたインテリジェントなメカニズムを通じて、このような最適化のための枠組みを構築することもきわめて重要です。 IT 部門をコスト センターからビジネス イネーブラにシフトさせる この調査では、将来必要となる技術領域のイノベーションとそれらへの投資を阻む最大の障害として予算的な制約が挙げられています。このような状況になっている原因は、IT 業務をアウトソーシングする従来の戦略によって、それが貸借対照表でまた別の費用項目とみなされていることにありますが、デジタル改革を進めるにあたっては、こうした考え方を変えていかなければなりません。
デジタル変革では、技術が組織の IT 部門をコスト センターから対等な立場の戦略的パートナーへとシフトさせなければならない理由となり、(一部では)そのための解決策にもなります。IT 部門はもはや、他の部門をサポートするものではなく、マーケティング、カスタマー エクスペリエンス、R&D、セールスといった、他のすべての部門に組み込まれています。
考慮すべきもう 1 つの(おそらく最も重要な)ポイントは、技術が現在、より多くのイノベーションを迅速に実現したり、新たな市場を生み出したり、カスタマー エクスペリエンスを向上させたりするための手段となっていることです。それが何を意味するのかについては、新たなデジタル企業に目を向けるだけでわかります。技術は、新しいより大きな収益源を創出するために導入されているのです。
IT の管理から新たな価値の創出に重点をシフトさせるために IT インフラストラクチャの自動化を進める デジタル化への準備という話において、自動化の概念は非常に広義です。自動化と言えば、確かに製造業や工場の作業現場のロボットが思い浮かびますが、シスコと連携すれば、ネットワーキング、セキュリティ、データセンター、クラウド、そして企業のコア インフラストラクチャを形成するすべての部分など、あらゆる場所で自動化が進められます。
(今もほとんどの組織で大部分が手動の)これらの部分の自動化で重要なのは、IT 部門に対して、重点項目を IT の管理からシフトして、事業部門によるイノベーション創出の促進、カスタマー エクスペリエンスの向上、または新たなサービスの実現などのサポートに向けることです。自動化を進める最も基本的な理由は、個別のアプローチでは増加を続けるユーザ、デバイス、そして間違いなくサイバー脅威には対応できないという点にあります。ただし、コア インフラストラクチャが自動化されると、企業とその資産をはるかに簡単、迅速、かつ効率的に管理、拡張、保護できるようになります。
シスコのイノベーションで重要な部分となるのはネットワークです。シスコは、インテントベース ネットワーキングとしても知られる、世界初の次世代ネットワーク(NGN)を立ち上げた最初の企業であり、このネットワークは、企業がわずか数クリックで一元的かつ自動的に大規模なデジタル環境を管理することを可能にする、大規模な機械学習とみなすことができます。自動化されていないネットワーク環境では、どのような導入や変更でも数週間から数ヵ月かかる可能性があります。 次のレベルの IT イノベーションとビジネスの差別化を実現するための強力な IT の基盤を構築する 優れたデジタル企業は、優れた IT の基盤を構築しています。こうした基盤には、いくつかあるエレメントの中で、特にネットワーキング、データセンター、およびセキュリティが含まれています。
デジタル化に対応し、デジタル変革で成功を収めるには、最初のステップとして、自社が自動化された、シンプル、スケーラブル、かつセキュアな信頼できる IT インフラストラクチャを有しているかどうかを認識する必要があります。その次のステップでは、妥協することなく、将来を見据えた適切な選択と投資を行います。
このような強力な基盤の構築に向けた変革の速度は、大規模組織と小規模組織で異なるかもしれませんが、デジタル化の速度はどちらの組織でも変わりません。また、いずれの組織においても、コア インフラストラクチャがデジタル変革戦争の勝者と敗者を分ける要因になる可能性があります。